シバジ Shibaji

 

監督: 林權澤(イム・グォンテク) 

           1986年   カラー・ヴィスタ・95分

出演: 姜受延(カン・スヨン) 

          方姫(パン・ヒ) 韓銀珍(ハン・ウンジン) 

1986年 大鐘賞 撮影賞/照明賞

1987年 映評賞 撮影賞/特別賞

1987年 ヴェネチア国際映画祭 主演女優賞

1987年 ナント三大陸映画祭 主演女優賞

1987年 アジア太平洋映画祭 作品賞/監督賞/

       助演女優賞(方姫)

 

 

<ヴェネチア映画祭主演女優賞を獲得するなど、国際的に高く評価された作品。世継ぎが生まれない名家にシバジ(代理母)として雇われた若い女の悲劇。>

 

解説

林權澤はしばしば溝口健二と比較されることがあるが,たしかにこの二人の監督は、男性中心社会における女の受難や反抗といったテーマを好んで取り上げている。『シバジ』もまた、子供を産むだけの道具として使い捨てられる女の物語である。李氏朝鮮時代の末期、後継ぎの生まれない家のためにシバジ(代理母)という存在があった。正妻の了解を得て主人はシバジに子供を産ませるのだが、シバジは自分の生んだこの顔も満足に見ないうちに屋敷から追い出されるのである。この作品は、いたいけな少女がシバジとなって報われぬ人生を終えるまでを描いており、林監督は男尊女卑の伝統に懐疑の視線を向けている。若きシバジを熱演した姜受延は、ヴェネチアでアジア人女優としては初めての主演女優賞を受賞し、韓国映画が国際的に知られるきっかけとなった。

 

あらすじ

李氏朝鮮時代末期、地方の名家・申(シン)一族の若い当主夫妻は後継ぎに恵まれずにいた。親族たちは相談の結果、シバジ(種受け、代理母)を呼ぶことにし、シバジの暮らす村からオンニョが選ばれる。オンニョの母はやはりシバジであり、まだ少女の面影の残る娘の行く末を不憫に思いながらも、仕方なく送り出すのであった。屋敷に着いたものの、自分の立場がよく分からず、美しい衣服や美味しい食事を無邪気に喜ぶオンニョ。初めての夜を迎えたとき、当主サンギュは妻への愛情と義理のため、義務的に抱くばかりであったが、いつしか、若く美しいオンニョとの間に愛が芽生える。オンニョはシバジの分をわきまえず主人を誘惑したとして、サンギュの母らに厳しく罰せられる。やがてにんしんした彼女は、激しい陣痛を乗り越えて男児を出産するが、我が子の顔を見ることも許されないままに、屋敷から追い出される。深い悲嘆にくれ、自らの命を絶つのだった。

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